(公開前・下書き)2026大学入試共通テスト[物理]:分析と総評

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― 「今年の物理で本当に問われた力」とは ―

大学入試共通テストの物理は、年々その姿を変え続けている。
単なる公式暗記やパターン処理では太刀打ちできず、「物理を本質的に理解しているか」が強く問われる試験へと進化してきた。

そして今年度の共通テスト物理も、まさにその流れを色濃く反映した内容だった。

本記事では、詳細な分析と所感

  • 全体構成と難易度
  • 各大問の出題意図
  • 受験生が戸惑ったポイント
  • 今後の学習で絶対に意識すべき対策

を、受験生目線でわかりやすく、かつ本質的に解説していく。

「共通テスト物理で安定して得点したい」
そう願うすべての受験生にとって、今後の学習指針となる内容だ。


もくじ

◆ 全体概観|今年の共通テスト物理はどんな試験だったのか

まず全体構成から整理しておこう。

  • 大問数:4題(昨年と同じ)
  • 設問数:昨年より3問減少
  • マーク数:2つ減少
  • 出題分野:物理全範囲から満遍なく出題

構成は以下の通りである。

大問分野
第1問小問集合(全分野)
第2問力学
第3問A熱力学
第3問B波動
第4問電磁気

この構成自体は昨年度と完全に同一であり、形式面での大きな変更はなかった。

しかし、今年最大の特徴はここだ。

例年必ず出題されていた「実験・探究活動」を題材とした大問が、今年は出題されなかった。

これは非常に大きな変化である。

共通テスト開始以降、
「実験考察」「グラフ読み取り」「探究的思考」を前面に出した問題が続いていたが、今年度はそれが姿を消し、

  • 定性的に選ぶ問題
  • 知識だけで即答できる問題

も大きく減少した。

代わりに増えたのが、

理論に基づいて、計算と考察を積み重ねていく問題

である。

つまり今年の物理は、

  • 目新しさは少ない
  • しかし一つ一つを丁寧に理解していないと解けない

という、**「実力差がはっきり出る試験」**だったと言える。


◆ 難易度はどうだったのか

講師2名の評価を総合すると、

  • 「やや難化」
  • 「昨年並み」

という表現に分かれているが、これは矛盾ではない。

理由は明確で、

  • 問題そのものは奇抜ではない
  • しかし理論理解が浅いと得点できない

という構造だったからだ。

また今年は、

  • 選択肢の数が少ない
  • 明らかに誤った選択肢を消去できる問題も多い

という救済要素も見られた。

中には、

問題文を細部まで読まなくても、物理的におかしい選択肢を消すことで正解に近づける

という問題も存在した。

一方で、

  • 計算過程をごまかせない
  • 「なんとなく」で選ぶと確実に落とす

そんな問題も多く、思考力の差が点数に直結する構成だった。


◆ 第1問:小問集合(全分野)

第1問は例年通りの小問集合。
今年も以下の5分野から出題された。

  • 波動(ドップラー効果)
  • 電磁気(交流回路)
  • 力学(見かけの重力・浮力)
  • 原子物理(コンプトン効果)
  • 熱力学(状態方程式・二乗平均速度)

問1:ドップラー効果(波動)

典型的なドップラー効果の問題。

重要なのはただ一つ。

波の速さは、波源の運動によって変化しない。

この原則を正しく理解していれば、公式適用で確実に得点できる。

また、
「波源が近づく → 振動数が増える」
という物理的イメージを持っていれば、概算でも判断可能だった。


問2:交流回路(電磁気)

コイル・コンデンサー・ランプを組み合わせ、
ランプが最も明るくなる条件を選ぶ問題。

すべてを数式で計算するのは非現実的で、

  • 直流ではコイルは導線、コンデンサーは遮断
  • 交流ではリアクタンスが働く
  • LC直列共振で電流最大

という定性的理解が鍵だった。

共通テストらしく、「意味理解」が強く問われた一問である。


問3:見かけの重力と浮力(力学)

加速する系の中での現象を扱う問題。

ポイントは、

浮力は「見かけの重力」と逆向きに働く

という考え方。

バスの中、エレベーターの中など、
日常イメージと結びつけられるかどうかで差がついた。


問4:コンプトン効果(原子物理)

必要な式はすべて与えられており、
運動量保存則の式も記載されている。

計算量は少なく、正答率は高め。

「原子分野=難しい」という先入観を捨てられた受験生が有利だった。


問5:気体の状態(熱力学)

やや難関。

温度・物質量が異なる2つの気体について、

何が等しく、何が異なるのか

を正確に整理する必要があった。

状態方程式と二乗平均速度の意味理解が甘いと、ここで失点した可能性が高い。


◆ 第2問:力学(衝突)

今年の力学は、衝突を軸にした総合問題

前半は典型問題だが、後半で思考力が問われた。

  • 問1:壁との衝突(はね返り係数)
  • 問2:2物体の衝突(運動量保存+はね返り係数)

ここまでは標準。

問題は後半。

ばねで連結された2物体に、別の物体が衝突するという設定で、

  • 定義を正確に読み取る力
  • 重心速度の理解
  • 運動量保存・エネルギー保存の使い分け

が求められた。

テーマ自体は慣れないが、

問題文の定義に忠実に従えば解ける

という、共通テストらしい構成だった。

ただし試験中に読む負荷は大きく、
体感的にはかなり難しく感じた受験生が多いだろう。


◆ 第3問A:熱力学(熱サイクル)

定圧加熱 → 定積冷却 → 等温圧縮
という熱機関の問題。

  • 熱力学第1法則
  • サイクル一周のエネルギー収支
  • 熱効率

といった王道内容が問われた。

特徴的だったのは、

P–Vグラフの面積をマス目から概算させる設問

数式処理だけでなく、
グラフを「物理的意味」で読む力が試された。

共通テストらしい良問である。


◆ 第3問B:波動(円形波×平面波)

今年最も戸惑った受験生が多かったのがここだろう。

円形波と平面波の干渉という、非常に珍しいテーマ。

  • 強め合いの条件(経路差)
  • 定在波の腹の個数
  • 波面の時間変化

頭の中で動的にイメージできるかが鍵だった。

特に最終問題は、

「2つの波が時間とともにどう重なっていくか」

を正確に想像できないと判断できない。

選択肢も紛らわしく、正答率は低めと予想される。


◆ 第4問:電磁気(荷電粒子の運動)

全体の中で、最も得点しやすい大問

  • 電場中:放物運動
  • 磁場中:等速円運動

という基本事項の確認が中心だった。

ただし注意点は一つ。

電子(負電荷)であること

力の向きを正しく取れないと、一気に失点する。

最後の問では、

  • 円運動の半径が何に依存するか

を正確に判断する必要があり、ここでミスが出やすかった。


◆ 今年の共通テスト物理が受験生に伝えたメッセージ

今年の試験を通して、はっきりしたメッセージがある。

それは――

「公式を覚えただけの物理」は、もう通用しない。

  • なぜその式が成り立つのか
  • どの物理量が何を表しているのか
  • 現象をイメージできているか

これらが理解できていないと、得点は安定しない。

一方で、

  • 教科書レベルの理論を丁寧に理解している
  • 標準問題を「意味を考えながら」解いてきた

受験生にとっては、十分に戦える試験だった。


◆ 今後の学習で最も大切なこと

これから共通テスト物理を対策するなら、意識すべきは次の3点だ。

公式暗記から脱却する
現象を図で説明できるレベルまで理解する
標準問題を“なぜそうなるか”で解く

難問演習よりも、

  • 教科書
  • 標準問題集
  • 共通テスト形式演習

を「理解重視」で回すことが、最短ルートになる。


共通テスト物理は、決して意地悪な試験ではない。
むしろ、

物理をきちんと理解した人を、正当に評価する試験

へと確実に進化している。

今の努力は、必ず点数に変わる。
焦らず、しかし確実に、一歩ずつ積み上げていこう。

―― 物理は、理解すれば必ず武器になる。

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